天皇が『古事記』作成を命じたワケ
7世紀後半。
すでに天皇の系譜を記した『帝紀』がありました。
神話や伝説、歌謡物語などが書かれていた『旧辞』もありました。
ところが、この2つの内容は食い違っており正確さに欠けていました。
そこで、天武天皇は稗田阿礼(ひえだのあれ)に歴史書を作るよう命じました。
天武天皇が亡くなると、計画は一時中断しますが、三代後の元明天皇が受け継ぎ『古事記』が完成しました。
『古事記』の構成と歴史
『古事記』は上中下の三巻から成っています。
上巻:天地開闢→→→神武天皇の誕生(神代の話)
中巻:神武天皇の即位→→→應神天皇
下巻:仁徳天皇→→→推古天皇
ただ、『古事記』には日付が記載されておらず、神話物語的な性格が強いものとなっています。
天武天皇が、大和の統治者としての正統性を示すために作らせた『古事記』。
千年以上も受け継がれ、戦前は日本の歴史として教科書に『古事記』の物語が掲載されていました。
「因幡(いなば)の白兎」は、小学唱歌として歌われたりもしました。
ただ、現在はあまり教育の場で重視されていないようです。
いつの時代も神話を大切にしない民族は衰退していることを考えると、非常に残念なことです。
日本の土地が出来上がる!!国生みの神イザナギとイザナミ
高天原から天降った2人の神、イザナギとイザナミ。
天沼矛で海水をかき回して、淡路島、四国、九州、佐渡島、本州などの国土を造ります。
そして、様々な神を産みおとしますが、火の神を産むとその際のやけどでイザナミは死んでしまいます。
高天原に事件!太陽の女神が隠れる
天照大御神(あまてらすおおみかみ)は太陽の女神。
高天原を支配していました。
そんな中、弟のスサノオが稲田を荒らしたり、機織りの女神を殺すなどの乱暴をはたらきます。
怒った天照大御神は天岩屋度に隠れてしまい、世の中は暗闇に包まれます。(皆既日食だと考えられている)
このままでは、悪霊がはびこり生活に支障をきたします。
そこで、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が天岩屋度の前で踊ったところ他の神々が笑い、それにつられた天照大御神が岩戸を開けて様子を覗きます。
スキをみた天手力男命(あめのたぢからおのみこと)が天照大御神を引き出し、無事世界に光が戻りました。
追放されたスサノオ!行く先での出会い!!
高天原から追放されてしまったスサノオ。
出雲にやってくると、老夫婦が泣いています。
話を聞くと、「毎年、八つの頭と八つの尾をもった大蛇に娘を食べられてしまい、今年は最後に残った娘の番である」というのです。
そこで、スサノオは大蛇を酒で酔わせて退治。
大蛇の尾から出てきた草薙の太刀を手に入れます。
その後スサノオは須賀に宮を造り、助けた櫛名田比売(くしなだひめ)を妻にしました。
因幡の白兎、騙されてもなお信じる
大国主神(おおくにぬしのかみ)そ、その兄弟は求婚のため因幡の国まで来ていました。
すると、兎が倒れているのを発見。
この兎は、ワニを騙した仕返しに皮をむかれて赤裸になっていました。
兄弟たちはこれを見ると、「海水を浴びて、風に吹かれると良い」と助言します。
兎はそれを信じ実行すると、傷はかえってひどくなりました。
遅れて大国主神が兎を発見します。
そして、「川の水で身体を洗い、蒲の黄粉の上に転がれば元通りになる」と助言します。
兎はこの言葉も信じ、実行。
すると、身体は元通りになりました。
傷の治った兎は大国主神に「あなたは求婚に成功するでしょう」といい、実際その通りになりました。