徳和歌後万載集
出版:1785年
撰者:四方赤良(よものあから)
内容:狂歌集(古典のパロディが主)
巻数:15巻
1783年に、『千載和歌集(せんざいわかしゅう)』をもじって『万載狂歌集』が出版されました。
そして、その評判が良かったので、続編として『徳和歌後万載集』が出版されました。
掲載する歌を選んだのは、四方赤良。
「世の中は 色と酒とが 敵(かたき)なり どふぞ敵に めぐりあひたい」という洒落た歌を詠んでいる人物です。
狂歌を楽しむ
狂歌は有名な昔の和歌に手を加えて作られることが多く、作るのも楽しむのもかなりの教養が必要になってきます。
いくつか代表的な歌を見てみましょう。
天の原 月すむ秋を まふたつに ふりわけみれば ちやうど仲麿 【元ネタ】 |
古典の知識がある人は、阿倍仲麿の歌が満月について詠んでいることを知っています。
陰暦8月15日の満月を「中秋の名月」といったことから、「秋をちょうど二つに割ったら、仲麿(満月)だ!!」という歌です。
月見ても さらにかなしく なかりけり 世界の人の 秋と思へば 【元ネタ】 |
元ネタに対して、「月を見ても改めて悲しくなったりしない。世界中の人が秋を迎えているのだから」という、なかなか皮肉の利いた古典パロディになっています。
酒一斗 のみにし人も 物かはと かみこなしたる 餅は太白(たいはく) 【意味】 |
古典のパロディを味わうには、教養が必要なのでかなりハードルが高いですが、興味がある人は『徳和歌後万載集』読んでみても面白いかもしれません。