金槐和歌集
成立:1213年頃
作者:源実朝(みなもとのさねとも)
構成:春、夏、秋、冬、恋、雑
『金槐和歌集(きんかいわかしゅう)』は、鎌倉幕府3代将軍・源実朝の和歌をまとめた歌集です。
「金」は鎌倉幕府の意味。
「槐」は「えんじゅ」という木のことで、中国の故事から「大臣」の意味で使用されています。
※中国では昔、朝廷の庭に三本の槐を植えて、三つの官職の位置を示した。
源実朝の短い生涯
源実朝は、鎌倉幕府を開いた源頼朝の子どもです。
京の貴族文化に憧れて、歌人・藤原定家の指導を受けました。
2代目将軍・源頼家が重病で倒れると、北条氏と比企氏の対立が起こります。
これに勝利した北条氏側は、頼家を追放し、実朝を将軍にすえました。
これにより、わずか12歳で将軍となった源実朝ですが、その生涯は短く、28歳の時に鶴岡八幡宮で頼家の子に暗殺されてしまいました。
代表的な歌を紹介
源実朝の歌には、私的なものと公的なものがあります。
私的なものは自身の心情や情景などを詠んだものであり、
公的なものは上皇相手のメッセージや、天に対する祈りのようなものとなっています。
ここでは、代表的なものを紹介します。
萩の花 暮々までも ありつるが
月出(いで)てみるに なきがはかなさ 【意味】 |
箱根路を わが越えくれば 伊豆の海や
沖の小島に 波のよるみゆ 【意味】 |
大海(おおうみ)の 磯もとどろに よする波
われてくだけて 裂けて散るかも 【意味】 |
山はさけ 海はあせなむ 世なりとも
君にふた心 わがあらめやも 【意味】 |
時により すぐれば民の なげきなり
八大竜王 雨やめたまへ 【意味】 |