<出典:wikipedia>
伊勢物語
作者:在原業平(ありわらのなりひら)
成立:平安時代前期
形式:歌物語
伊勢物語は、超モテモテ男・在原業平の様々な恋の話を集めたものです。
「むかし、男ありけり」で始まる話が多いため、在原業平のことを「昔男」とも呼ぶようになりました。
また、在原業平は歌の名手でもあったため、様々な歌が載っています。
例えば、次の歌は、『古今和歌集』にも掲載されました。
世の中に たえて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし 【意味】 |
これに応えた歌も有名です。
散ればこそ いとゞ桜は めでたけれ
うき世になにか 久しかるべき 【意味】 |
能楽にもなった物語
伊勢物語の中の話には、後に能楽の演目になったものもあります。
霧と答へて (能楽:雲林院)
ある男が手に入れがたい女を好きになり、何とか連れ出して芥川のほとりに辿り着いた。 草の上に露があるのを見て、女が尋ねる。「あれは何?」と。 夜がふけて・・・。 雨がひどく雷も鳴っていたので、蔵に女を隠して男は戸口で見張りをしていた。 ところが蔵には鬼がいた。 鬼は女をひと口に食べてしまった。 これを知った男は、歌を詠む。 白玉か 何ぞと人の 問ひし時 【意味】 |
これは、在原業平が藤原高子を連れ出したものの、高子の兄の藤原基経らに取り戻されてしまった話です。
鬼というのは藤原基経らのことのようです。
筒井筒(能楽:井筒)
井戸の近くで一緒に遊んでいた少年と少女。 ともに成長し年頃になった。 男が歌を送る。 筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 【意味】 女。 比べこし 振分髪も 肩過ぎぬ 【意味】 こうして二人は夫婦となった。 何年か経ち。 男には別の女ができた。 妻は別の女のもとに通う夫を不快な顔をせず送り出すので、男は「ほかに男がいるのではないか?」と疑う。 男は出かけたふりをして植込みの陰に隠れて観察し、妻が歌うのを聞きます。 風吹けば 沖つ白浪 たつた山 【意味】 歌を聞いた男は、妻を愛しいと感じ、別の女のもとへ行くのをやめた。 やがて、別の女は打ち解けて馴れ馴れしくなったので、通うのもやめた。 |