<出典:wikipedia>
源氏物語
作者:紫式部
成立:平安時代中期
冊数:54冊
第一部:光源氏の誕生→失脚して遠方に流される→許されて栄華の道へ
第二部:女三の宮を妻に迎える→紫の上に先立たれ出家を考える
第三部:光源氏の子と思われる薫が主役の物語
『源氏物語』の作者・紫式部は、名門・藤原家の出身です。
しかし、紫式部が生まれたころには、父・為時は地方の役人にまで落ちぶれていました。
曾祖父、祖父ともに歌人で、父・為時も漢詩の才能があり、紫式部は父から漢文の書籍について教わりました。
999年。
紫式部は藤原宣孝(のぶたか)と結婚しますが、わずか2年で死別。
1006年に、一条天皇の中宮である彰子(しょうし)に仕えることになります。
『源氏物語』は夫の死別から晩年まで、長期間にわたって書かれたものだとされています。
才色兼備な光源氏の恋の物語
『源氏物語』の主人公は光源氏。
輝くように美しく才能にも恵まれている、まさに理想の男性です。
光源氏はわずか3歳で母親を亡くしたことから、母親に面影が似ている女性に惹かれるようになります。
現在ならマザコンと言われそうですが、当時の人がどのように感じていたか気になるところでもあります。
光源氏は、身分は臣下でありながら、実のところ帝の皇子でした。
そのため、宮廷で大きな影響力を持ちます。
左大臣の娘や、朱雀帝の娘を正妻として迎える以外にも、空蝉(うつせみ)、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)、夕顔、末摘花、源典侍(げんのないしのすけ)、朧月夜、花散里、赤石君、秋好中宮、朝顔姫君、玉鬘(たまかずら)と様々な女性と恋を繰り返します。
なかでも朧月夜との恋はスキャンダルとなり、光源氏は須磨に流されてしまいます。
また、若紫にいたっては「自分で育てて妻にする」といっており、今ならばロリコンと騒がれそうな話になっております。
『源氏物語』は、光源氏の様々な恋の物語が、源氏の地位と政治と絡まり合って、話が進んでいきます。
夕顔と若紫のエピソードを紹介
夕顔
源氏は五条当たりの軒に白い夕顔が咲いている家の女と知り合い、これが頭中将が話した女ではないかと思いながらも、夢中になっていく。
ある日。
夕顔を牛車で連れ出して荒れ果てた館で一緒に時を過ごしますが、夕顔は物の怪に取り殺されてしまった。
若紫
疫病の治療のため、祈祷を受けに北山の寺に赴いた源氏は、かわいらしい童女に出会います。
その童女が“自分が慕っている藤壷の姪”であることを知った光源氏。
「自分が育てていずれは妻にしよう」と考え、二条の院に引き取ります。
一方、源氏は藤壷とも不倫の恋に落ち、やがて藤壷は源氏の子どもを身ごもります。
おわりに
以前『源氏物語』は、ただ単に「洗練された恋愛をすること」について書かれた文学作品とみられていました。
しかし、江戸後期の国学者・本居宣長が『源氏物語』を「もののあはれ」を描いた香り高い文学と評価したことで、社会から高い評価を受けるようになりました。
また、複雑な人間模様の中で苦悩する人間の心を繊細に描き出している点。
事実や出来事を羅列した歴史書と違い、当時の人々の価値観や考え方が伝わってくるのも重要な資料とされる理由の一つです。