<出典:wikipedia>
古今和歌集
成立:905年
巻数:20巻
歌数:1200首
編纂者:紀友則(きのとものり)、紀貫之(きのつらゆき)、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、壬生忠岑(みぶただみね)
『古今和歌集』は、醍醐天皇の命で作られた、初の勅撰和歌集です。
それ以前に作られた『万葉集』に比べ、歌人が貴族や僧侶、尼僧に偏っているのが特徴で、上流階級の歌集ともいえます。
また、『万葉集』を「ますらおぶり(おおらかで男性的)」と表現するなら、
『古今和歌集』は「たをやめぶり(繊細で女性的)」と表現することができます。
『古今和歌集』には、短歌・長歌・施頭歌などが載っています。
冒頭・仮名序に書かれた想い
『古今和歌集』が編纂されたのは平安時代。
当時、漢学が盛んで、公的な文書も漢文で書かれていました。
漢文ができなければ出世できないし、漢詩が作れなければ宮廷の宴会で目立つこともできない。
そんな時代にあって、紀貫之は『新古今和歌集』の冒頭(仮名序・序文)でこう記します。
花に鳴く鶯(うぐいす) 水に住む蛙の声を聞けば 生きとし生けるもの いづれか歌を詠まざりける 力をも入れずして 天地を動かし 目に見えぬ鬼神をも 哀れと思はせ 男女の仲をも和らげ 猛き武士の心をも 慰むるは歌なり 【意味】 |
漢詩の盛んな時代に、「和歌には人だけでなく天地の神々や鬼神をも感動させる力がある」と書いた紀貫之。
そこには、漢詩への対抗心や和歌への愛情がこもっていたのかもしれません。
序文。紀貫之による厳しい批評
紀貫之は仮名序で、六歌仙の作品についての批評もしています。
僧正遍照… 歌の形はできているが本心が少ない。絵に描いた女を見せて心を動かそうとしているようなもの。 在原業平… 文屋康秀… 宇治山の僧・喜撰… 小野小町… 大伴黒主… |
なかなかに辛辣なコメントです。
『古今和歌集』の代表的な歌
『古今和歌集』には、百人一首にも掲載されている有名な歌がたくさんあります。
ここでは、『古今和歌集』の代表的な歌を紹介します。
人はいさ 心も知らず 故郷(ふるさと)は 花ぞ昔の 香に匂ひける (春歌上・41・紀貫之) 【意味】 |
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に (春歌下・23・小野小町) 【意味】 |
秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ 驚かれぬる (秋歌上・169・藤原敏行) 【意味】 |
『古今和歌集』には、「女性の美」や「季節の推移」をテーマにした歌がたくさん集録されています。
また、誰が詠んだのか分からない歌も多く載っています。
なかでも有名なのが次の歌。
紫の 一本(ひともと)ゆゑに 武蔵野の 花はみながら 哀れとぞ見る (雑歌上・867) 【意味】 【歌に込められた想い】 |
歌にのせられた想いが伝わり、いつまでも心に響く。
漢詩よりも軟らかく、感情に寄り添い人間味のあるイメージに浸れるのが、和歌のいいところかもしれません。