実録・箱館戦争!新選組・土方歳三の最後の戦いを徹底解説!

現在、五稜郭タワーの展望室からは、五芒星をかたどった五稜郭から、函館の市街地までを見渡すことができます。

函館戦争で新選組が立てこもった函館山から、土方歳三が命を落としたとされる一本木関門がある函館駅方面までもその視界におさまります。

 

さかのぼること150年前。

蝦夷共和国陸軍奉行並、幹部の立場にあった土方歳三は、函館山に立てこもっている新選組のもとへ向かっていたところ、
JR函館駅から程近い一本木関門で銃撃され、35歳で命を落としました。

 

函館戦争では蝦夷共和国が降伏しているので、新政府の勝利、蝦夷共和国の敗北というイメージがあるかもしれません。

ですが、実際は蝦夷地での緒戦では、松前城を落としたのをはじめ、土方歳三の率いる隊が奮闘していました。

そこで今回は、陸軍奉行並・土方歳三にスポットをあて、函館戦争について徹底解説していきます。

蝦夷地に上陸するまでの土方歳三

武蔵国の豪農であった生家で製造している「石田散薬」という薬の行商をしながら、いつか武士になると剣術修行を続けていた土方歳三は、幼馴染・近藤勇の剣術道場にも出入りしていました。

そして、この剣術道場・試衛館の食客たちとともに、京都守護職お預かりの警察隊・新選組を立ち上げました。

新選組の局長は近藤勇。

土方歳三は副長として、隊内の実務を担いました。

当時、不逞浪士たちによるテロが横行し、京都の治安は荒れていたのです。

 

新選組は浪人の寄せ集めでもあったため、局中法度という破れば切腹の規律によって、隊内が束ねられました。

そして池田屋事件を皮切りに、数々の功績が認められた新選組では、幹部が幕臣に取り立てられるまでになります。

 

戊辰戦争をむかえると新選組は旧幕府側として戦います。

会津戦争のあと、榎本武陽率いる旧幕府勢力と合流、蝦夷地へ渡りました。

そして、箱館をおさえて松前藩を陥落させます。

 

榎本らが蝦夷共和国を樹立したのは1868年のこと。

総裁・榎本武揚の提唱で選挙が実施され、土方歳三は陸軍奉行につぐ陸軍奉行並に選出されました。

一方、 主力艦隊を失っている蝦夷共和国に対し、新政府軍は蝦夷地上陸へ向けて青森に集結していました。

 蝦夷地での緒戦で活躍

1869年4月9日。

新政府軍は、総勢7000人という規模で蝦夷地に上陸しました。

迎撃に備えるため、土方歳三は300名の兵を率いて二股口へ向かいます。

二股口では16箇所におよぶ胸壁(背の低いとりで)を築き、新政府軍を迎え撃ちます。

新政府軍は、次々に兵を入れ替え、まさに間髪入れず銃撃を繰り返します。

悪天候の中、土方歳三の一隊は交代で銃を撃ち続けました。

 

新政府軍は鈴の音を鳴らし、包囲したと思わせる心理作戦に出ました。

このとき、動揺をみせた部下たちに、「ほんとうに包囲しようとするのなら、音を隠し、気付かれないようにするものだ」と、土方歳三は落ち着かせたのです。

さらに、兵たちに酒を振るまって回ったというエピソードもあります。

 

この戦闘は16時間にもおよび、新政府軍は撤退します。

土方歳三の一隊が撃った銃弾は35000発にのぼりました。

単純計算だと、ひとりの兵士が撃った銃弾は150発にもなります。

当時の銃だと150発でも相当な弾数だといえるでしょう。

 

新政府軍は正面から攻めることを断念し、側面の山肌から銃撃を仕掛けてきました。

土方歳三たちは、夜を徹した奮戦もむなしく、五稜郭への退路を断たれないうちに五稜郭への撤退を余儀なくされました。

箱館戦争勃発!土方歳三の最期

1869年(明治2年)5月11日、午前3時。

前触れもなく箱館湾に砲撃が響きました。

ついに新政府軍の攻撃が開始されたのです。

函館山にある弁天台場では、新選組を含めた蝦夷共和国の兵たちが逃げ場を失っていました。

このとき土方歳三は救援に向かったと推測されています。

 

一本木関門に土方歳三が到着したとき、旧幕府艦隊「蟠龍」が放った砲弾が新政府艦隊「甲鉄」の火薬庫に命中した轟音が響きました。

「この機会を逃すな!」と叫ぶ土方歳三。

五稜郭へ敗走しようとする者は、この場で斬り捨てると言って攻め込みます。

 

一本木関門で新政府軍と激突した土方歳三は、馬上で刀を振りながら指揮をとりました。

が、そのとき、土方歳三の腹部を、銃弾が貫きました。

敵の銃弾、あるいは味方の流れ弾にあたったといわれていますが、その一方で、降伏を受け入れない姿勢を貫いていた土方歳三を、味方が暗殺したという説もあります。

 

その後、一本木関門があった「終焉の地」には、その死を悼み、手を合わせるひとが後を絶ちませんでした。

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