<出典:wikipedia>
はじめに
日本の歴史にとって、仏教が果たしてきた役割はとても大きなものがあります。
思想、哲学、倫理観、道徳観、建築、造形、食文化。
実に広範囲に影響を与えてきました。
日本の伝統的な神々には実体なく岩や樹木などに降臨するという考え方がありましたが、「仏」には具体的な像があり視覚的に分かりやすいという特徴もありました。
さて、いまではすっかり馴染み深い存在になった仏様。
これらは役割や位置付けによっていくつかの種類が存在していることをご存知でしょうか?
ここでは、仏の四つの種類をピックアップして、それぞれについて解説したいと思います。
最高位の仏尊 「如来」
悟りを開いた釈迦は「ブッダ」と呼ばれるようになりました。
この状態を「釈迦如来」とも表現します。
「如来」とは悟りを開いた者のことで、本来「仏」とはこの如来を指す言葉でした。
如来には、念仏で有名な「阿弥陀如来」や、病気平癒に霊験があるという「薬師如来」、空海の真言宗でメインとなる「大日如来」などがあります。
数ある仏尊のなかでも最高位の存在であり、行者はいずれも悟りを開く=如来になることを目指して修行をしているといいます。
仏像などでの見分け方としては、ほとんどアクセサリーや飾りがない、シンプルな姿をしていることが多いです。
これは、最高位でありながらも悟りを開いたことでかえって余分なものを持っていないことを表しており、長いローブのような衣一枚、という服装がほとんどです。
まだ修行中の身 「菩薩」
「観音さま」「お地蔵さん」など、普段から馴染み深い仏は辻の祠 などでも祀られており、親しまれています。
この両者は「菩薩」という段階に位置付けられており、如来になるために修行中の方々、という意味をもっています。
ほかにも知恵を司る「文殊菩薩」や、白象に騎乗した「普賢菩薩」などがあり、神仏習合の考え方では八幡神も「八幡大菩薩」と呼ばれることがあります。
姿としては、出家する前の釈迦、つまり当時の王族の衣装を模しており、如来とは対照的にきらびやかなアクセサリーを多く身に付けた華麗な雰囲気が特徴です。
激しい憤怒で人々を導く 「明王」
「不動明王」や「愛染明王」等々、これもよく耳にする仏尊の名称です。
「明王」というのは仏の慈悲を「憤怒」によって表し、魔を祓うことと、人々が誤った方向へと行かないように導きます。
その姿はとても仏とは思えないような恐ろしい表情が特徴ですが、仏を守るためにはなくてはならない、いわば仏教界の警察官のような役割をもっています。
得意分野はそれぞれ 「天」
寅さんの育った東京・柴又で有名な「帝釈天」や、七福神の一員である「大黒天」など、「天」と名のつくものも仏尊の一種です。
ただし、これら「天」の方々は元来、古代インドの神々であったものが仏教に取り入れられ、仏法の守護者として位置付けられたものです。
「弁才天」や「吉祥天」など、明確な女神が存在するのもこのカテゴリーに特徴的で、それぞれが得意とする分野も分かりやすいので、「商売繁盛」や「開運招福」などの願いに答える神様としても親しまれています。