似てるようだけれど正反対? 土偶と埴輪

<出典:wikipedia 土偶 埴輪

日本の古代から伝わる物の中には、使用目的がわかりそうでわからない物があります。
例えば、縄文時代の土器や弥生時代の銅鐸など。
それらと並んで今ひとつ目的がはっきりしないのが、土偶と埴輪。
この似て非なるものが今回の話題です。

土偶とは何か

土偶とは、縄文時代に使用された、人物や動物の形に作った土製品のことです。
縄文時代(紀元前131世紀頃~紀元前4世紀頃)に作られ、動物や人間の形をしています。
北は北海道から南は九州まで、約15,000点が出土しています。
大きさは、数cmの小型のものから40cm以上のものまであり様々です。

【特徴的な形状】
東日本を中心に流行し、前期は板状で小型のもの、中期は立体的で脚のあるものや円錐形のもの、後期は筒形・ハート形・山形・ミミズクと分類されるもの、晩期は遮光器(しゃこうき)などの土偶が作られました。
中には動物土偶もあり、犬、猿、熊、水生昆虫のゲンゴロウ類などの土偶もあります。
人間の形をした土偶は手や足など、どこかが欠けて出土することが多く、また、乳房や妊婦を表現し女性像が多いことなどが特徴です。

【考えられる目的】
・脚部を故意に壊した例が多い
→祭祀などの際に身代わりとして破壊し、災禍などを祓い、健康維持、病気の快癒を祈ることを目的とした
・女性の生殖機能を強調しているものが多い
→安産・多産を祈る、豊穣祈念
・神像、精霊の像、お守り、呪物
・子供の玩具

【有名な土偶】
・国宝「縄文のビーナス」
1986年長野県茅野市棚畑遺跡出土
土偶として初の国宝
・重要文化財「遮光土偶」
1886年青森県つがる市亀ヶ岡遺跡出土
トンボのような眼が強調された、歴史の教科書にもよく登場する土偶
・重要文化財「ハート形土偶」
1941年群馬県吾妻郡郷原遺跡出土
顔の部分がハートの形をしているのが特徴的

埴輪とは何か

埴輪は、古墳にならべるために作られた土製の焼き物のことです。
古墳時代(4~7世紀)に作られました。
円筒の形をした円筒埴輪と、人や物などの形につくった形象埴輪があります。

【特徴的な形状】
埴輪は基本的に内部は空です。

円筒埴輪:壺を乗せる筒型の飾り台から発生したもの。壺と台が一体化した朝顔形埴輪など
形象埴輪:
・住居や倉庫などの家形埴輪
・大刀やよろい・貴人のための日傘などの器財埴輪
・馬・鶏などの動物埴輪
・巫女(みこ)・貴人(きじん)・武人などの人物埴輪
などがあります。

【考えられる目的】
3、4世紀には古墳の頂上の埋葬施設やその周辺に家や器財の埴輪が並べられ、4~5世紀以降は人物埴輪や動物埴輪が多くなりました。
当初、古墳に葬られる人物の生前の様子やその権威を示すもの、死者の霊への捧げものが中心でした。
5世紀以降は、葬儀の様子などを表現するものが多くなっています。

円筒埴輪は、古墳の周囲の柵の役割、葬られた人物への供え物としての役割もありました。
形象埴輪は、墓に葬られた人物の生前の暮らしを再現する役割がありました。
古墳時代の祭や死生観を反映したものだと考えられます。

【有名な埴輪】
・国宝・武装男子立像(群馬県太田市世良田町出土)
・重要文化財「踊る男女」(埼玉県熊谷市野原出土)埴輪男女立像
・重要文化財「馬」(埼玉県熊谷市上中条出土)

土偶と埴輪。似て非なるもの

こうしてみると土偶と埴輪は、分からない部分も多いながら、使用された時代や目的などが異なり、2つが全く別のものであることがわかります。

現在のところ土偶は「縄文時代に作られた人形。安産や健康を祈るもの」、
そして埴輪は「古墳時代に作られた筒や生き物の形をしたもの。貴人を弔うためのもの」といえそうです。

生に向かった物と、死に向かった物、と言う点では正反対ともいえる2つなんです。