<出典:wikipedia>
はじめに
戦国時代に諜報工作員として活躍した「忍者」。
戦の裏で暗躍する影の軍団で、名前は知ってても何をしていたかよく分からないという、探求心を駆り立てる存在です。
そんな忍者に関する疑問点の中でも「言われてみれば確かに気になる」という、少しだけマイナーな疑問をまとめてみました。
くノ一は実在したの?
忍者というと徳川家康に仕えた服部半蔵や、北条氏に仕えていた風魔小太郎といった男性の忍者を想像しがちですが、女性の忍者……くノ一も戦国時代には存在しました。
しかし本来は「久の一術」といって、女性を情報収集や諜報工作に使うことを指す言葉として使われていました。
当時どうやって女性を諜報活動に使っていたかというと、女中として敵の本拠地に潜入させたり、巫女になって全国津々浦々を歩き諸国の情報を集めさせたりといった、男性では難しい任務を請け負っていました。
時には売春をして情報を集める事もあったようです。
このようなくノ一術を得意としたのが武田信玄でした。
武田信玄は戦国時代に世に溢れていた戦災孤児や捨て子の中から、見た目が良く健康的な女児を選りすぐって、信濃国望月城主の妻・望月千代女に歩き巫女の養成を命じました。
千代女は少女たちに呪法や祈祷法、武術、そしてハニートラップや売春に必要な性技まで叩き込み、諸国に派遣して諜報活動をさせていきました。
この歩き巫女が今日で言うところの「女忍者・くノ一」の原型と考えられています。
忍法「分身の術」は実在したの??
忍者漫画に必ず登場する「分身の術」、漫画の中にしか登場しないものだと思われていますが、これは実在します。
無極量情流という、かつて駿府にあった武術の流儀について書かれた書物に、「分身の術」らしき記述があります。
それによると、「真言の呪文を唱えると、7人に分身することができる」とあります。
他にも、精神統一をし意識を外に出すことでもう一人の自分を作り出すという「神遊観」という技術も忍術の中にあります。
もう一人の自分を作り出して、さらにそれを増殖させて何人にも分身出来るというものです。
なんとも胡散臭い話に聞こえますが、中には現実味のある分身の術も存在します。
それが「八方分身」という忍術です。
「八方分身」とは、相手になんらかの方法で暗示をかけて、分身して周囲を囲んでいると思わせるというものでした。
どのような方法を用いたのかはっきりしていませんが、目の錯覚や薬物などの幻覚、または呪術的な暗示をかけて催眠状態にしたのだと考えられます。
暗示ごときで……と思ってしまいますが、情報化社会の現代人よりも昔の人は宗教的な暗示にかかりやすかったとされていますので、この「八方分身」は技術として使われることが多かったのかもしれません。
江戸時代の忍者は何をしていたの?
忍者が大活躍したのは主に戦国時代でした。
では戦の無くなった江戸時代は何をしていたのかと言うと、警備活動、情報収集や偵察などの諜報活動がメインの仕事になっていきました。
戦国時代は暗殺、謀略、工作が主な仕事でしたが、このような仕事は平和になると不要になるため、活躍の場は非常に少なくなってしまいました。
藩によってはいつ戦争が起きても良いようにと、忍者を召し抱えて火術や鉄砲技術の修練を続けていたりもしましたが、あまり熱心にやっていたわけではなく、ほそぼそとしたものだったようです。
召し抱えてくれる藩が減ると、忍者たちは就職難の時代を迎えます。
忍者を雇ってくれる藩に就職できない忍者は、自慢の火術を大道芸として披露し収入を得たり、農民のように土地を耕して生活したりしなければなりませんでした。
民衆にとって安心して暮らせる平和な時代だった江戸時代は、忍者にとっては就職氷河期だったようですね。
まとめ
忍者にまつわる素朴な疑問を見てきましたが、いかがでしたか?
常に裏方に回っていた忍者に関する史料は、当然ながら非常に少ないため、今なお忍者の実像は分かっていないことも数多くあります。
しかしそれ故に忍者は日本人だけでなく、世界中の人からミステリアスで魅力的な存在に見えるのかもしれません。
なお、現代の忍者はすべてアクション俳優による見世物忍者だと思われがちですが、きちんとした忍術を継承し先祖代々の術と教えを守っている本物の忍者も実在します。
そういった忍者の方々は今は様々な活動をして忍術を伝えていますので、実際に見てみるのも面白いと思いますよ。