【深読み】え。貝塚は縄文人のゴミ捨て場じゃないの?

<出典:wikipedia

学校の歴史の授業でかなり早い時期にさらっと勉強した貝塚。
「昔の人のゴミ捨て場」
そんなイメージの人も多いかもしれません。
そんな貝塚についてもうちょっと詳しく見てみましょう。

日本の貝塚、世界の貝塚

日本ではおよそ2500箇所の貝塚が発見されています。
4分の1近くは東京湾の東沿岸一帯、特に千葉県下に集中しており、世界最大の貝塚密集地帯となっています。
ほかの貝塚は太平洋沿岸の仙台湾、大阪湾など、内湾で干潟が発達した場所によく見られます。

貝塚は日本だけに見られるものではありません。
日本を含む中国・朝鮮半島・極東ロシアなど東アジアの沿岸海域は、世界的に貝塚が分布する地域です。
また、カナダの北西海岸、アメリカの大西洋岸、デンマークを中心としたヨーロッパのほぼ同緯度で氷河期後にできた貝塚が発見されています。

貝塚の研究は19世紀後半からデンマークで始まりました。
最初は自然に堆積したものだと思われていましたが、貝殻だけではなく、動物の骨や石器・土器なども発見され、人間の食料の残骸が集積したのが貝塚だと考えられました。

貝塚で発見されたもの

純粋に貝殻だけで堆積層を作っている貝塚もありますが、
貝殻以外が発見されている貝塚では、動物や魚の骨などの食料の残り、破損した土器や石器、骨や角で作られた道具類、焼土や灰なども発見されています。

日本での本格的貝塚研究は、1877年にアメリカの動物学者エドワード・S・モースが発見した、東京都大田区の大森貝塚がその始まりです。
貝殻、土器、土偶、石斧、石のやじり、鹿・鯨の骨片、人骨片などが出土しました。
それらの出土物から貝塚が当時のゴミ捨て場だったと考えられています。
「ゴミ」といっても、まだ文字を持たなかった時代を研究する上では非常に貴重な資料です。
モースらが発掘した大森貝塚の出土品は全て1975年に国の重要文化財に指定されています。

貝殻の意外な効用

日本列島は酸性の土壌で作られています。
従って通常、土中の骨などの有機物は溶けて無くなります。
しかし、貝塚では大量の貝殻に含まれる豊富な炭酸カルシウムによって土壌がアルカリ性に保たれています。
そのため貝塚で見つかる動物の死骸や骨格の保存状態は良く、動物考古学の観点からも貝塚は貴重な遺跡となっています。

貝塚から偲ばれる縄文人の生活

日本最古の貝塚は、千葉県の西之城貝塚と神奈川県の夏島貝塚とされています。
両貝塚から出土している土器によって紀元前7500年頃の縄文時代早期前半だと考えられています。

大森貝塚は、縄文時代後期から末期(約4500年前~2800年前)頃の貝塚と言われます。
当時の日本は、気候の寒冷化や、箱根山・富士山の噴火で、木の実や動物などの食料が不足しました。
そのため人は寒冷化に左右されにくい海産物中心にした食生活を中心にしたため貝塚ができたと考えられています。

縄文時代後・末期を代表する愛知県の田原市の吉胡(よしご)貝塚を調べると、ハマグリを捕るときに大きなサイズのものだけを採って、小さな貝を取っていなかったようです。
資源を食べきってしまわぬように若い小さな殻の貝を採取しなかったのでしょうか!?
自然との共存関係を大切にしていた縄文人の生き方が読み取れます。

貝塚は本当にゴミ捨て場?

貝塚によっては、貝殻が整然と並べられているものもあります。
沖縄の久米島町の貝塚では、貝を削って穴をあけてアクセサリーか死者の副葬品として使用されたと考えられる貝札なども同時に発見されています。
そのため、貝塚が単なる「ゴミ捨て場」だとは言い切れません。
しかも、貝塚によっては、縄文人が食べた貝や動物の骨とともに、丁寧に埋葬されたペットの犬や人骨までも見つかっています。

もしかすると貝塚は、役割を終えたあらゆるものを集め、あの世に送り、再びこの地に戻ってくる事を願った場所なのかもしれません。
人もペットも食料も皆大切。
また手元に戻ってきて欲しいものだから一緒に葬られた・・・。
そう考えれば、縄文人の優しさや、貝塚という場所の神聖さを感じることができそうですが、深読みでしょうか。