バリエーション豊かな大人気の仏さま! 「観音菩薩」の色々

<出典:wikipedia

はじめに

日本人の信仰に深く影響してきた仏教。

彩りも豊かなさまざまな仏尊が存在し、各寺院の本尊などという形で祀られているのを目にします。

そんな数ある仏尊のなかでもよく知られたもののひとつに、「観音菩薩(かんのんぼさつ)」があります。

別名を「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」や「救世菩薩(くせぼさつ)」などといい、どことなく中性的な風貌もあいまって女性からの信仰も篤い仏尊です。

そんな「観音さま」ですが、実はその時々でさまざまな姿をとって衆生を救済することから、「変化観音」と呼ばれる多数のバリエーションが存在しています。

今回は、そんな観音菩薩の実像に迫ってみましょう。




観音菩薩のスタイルが変化。普門示現

観音菩薩は衆生のさまざまなニーズに救いの手を差しのべるべく、その状況に応じて計三十三パターンの姿をとるといわれています。

このように状況に応じたスタイルで現れる観音菩薩の在り方を「普門示現(ふもんじげん)」と呼んでいます。

この「三十三」という数字は観音菩薩の功徳を象徴するものとして、「西国三十三所霊場」や「三十三間堂」など、観音信仰に関わりのある場所や寺院の名にも関されています。

観音菩薩のスタイル、六観音・七観音

観音菩薩のバリエーションで有名なものに、「六観音」または「七観音」と呼ばれるものがあります。

真言宗系では「聖(しょう)観音」「十一面観音」「千手観音」「馬頭(ばとう)観音」「如意輪(にょいりん)観音」「准胝(じゅんてい)観音」の六種を、天台宗系では准胝観音の代わりに「不空羂索(ふくうけんじゃく)観音」を当てて六種としています。

また、両者を合わせた七種をまとめて「七観音」とする場合もあります。

「聖観音」はもっともベーシックな観音像であり、「十一面」や「千手」などたくさんの顔や手で衆生の苦しみを救ったり、「如意輪」という法具で願いを叶えたり「羂索」という投げ縄で迷える人を掬い上げたりといった働きをしてくれます。

また、「准胝」は母神的な要素をもち、「馬頭」は観音らしからぬ恐ろしげな出で立ちですが、力の象徴である「馬」に仮託して魔から衆生を守ります。

観音の姿は衆生の「願い」そのもの

観音菩薩がこれだけ多くの姿をとるのは、衆生である人間の歴史上、それだけ多くの苦しみや悩みといったものが存在した証でもあります。

それをもっとも端的に象徴する観音の姿が、「十一面千手千眼(じゅういちめんせんじゅせんげん)」と呼ばれるものです。

その名の通り、十一の面と千本の手、そしてその手にはひとつずつ眼がついており、どんな小さな衆生の苦しみも必ずキャッチして、漏らさずに救うという意味を持っています。

親しみやすくも頼もしい観音さまが、絶大な人気を誇る秘密はこのような姿勢にありそうです。