『蕪村句集』一眼レフで情景を切り取ったような俳句

<出典:wikipedia

蕪村句集

作者:与謝蕪村(よさぶそん)
刊行者:高井生蕫(たかいきとう)
成立:1784年
歌数:868句

『蕪村句集』は、俳人、与謝蕪村の俳句を集めて刊行された句集です。

蕪村自身は、「俳人は自分の句集など出さなくてもいい」と言っていたが、ひそかに自選句集を書き進めており、亡くなった一年後に弟子の高い生蕫が刊行しました。

刊行後。

しばらく『蕪村句集』は脚光を浴びていませんでした。

しかし、1893年に正岡子規が発見したことから再評価されるようになりました。

与謝蕪村とは

与謝蕪村は大阪の裕福な農家に生まれましたが、家柄についてそれ以上のことは分かっていません。

18歳の頃、江戸に出た蕪村は、早野巴人(はやのはじん)から俳諧を学び、独学で文人画を学びます。

画家としてはかなり成功したようで、池大雅と合作もしています。

本格的に俳諧をはじめるのは晩年。

1770年に、夜半亭門流の棟梁だった望月床屋が没して、その跡を継ぐことになったのがきっかけです。

写真で切り取ったような、景色が浮かぶ俳句の数々

春の海 終日(ひねもす)のたり のたり哉(かな)

【解説】
「春の海が、うららかな春の日の下で、一日中ゆったりと寄せては返し、寄せては返す。」
『蕪村句集』のなかで、最も有名な句。
「のたりのたり」の表現が印象的で、春のゆったりとした様子が伝わってくる俳句です。

菜の花や 月は東に 日は西に

【解説】
「一面に菜の花が広がる。
空を見上げれば、東に月が浮かび上がり、日が西に沈み始めている。」
くっきりと風景画浮かぶ、写実的な俳句となっています。

鳥羽殿へ 五六騎いそぐ 野分哉(のわきがな)

【解説】
鳥羽殿とは、京都の鳥羽にあった白河上皇のこと。
武家が公家に取って代わろうとした時代で、不穏な状況の中なにかを告げようとして5~6騎の馬が疾走する。
緊迫感の溢れる俳句です。
※「野分」は台風の古称

さみだれや 大河を前に 家二軒

【解説】
「梅雨で増水した大河。
その前には小さな家二軒が、心細げに立っている。」
蕪村のなかでも有名な句ですが、面白いことに蕪村自身は合点の印をつけていません。