大奥のリーダー春日局。26歳までは苦難のなかで・・・。

<出典:wikipedia

はじめに

ドラマや映画などで、“大奥”を知っている方は多いでしょう。

大奥を題材にした作品なら、そこを取り仕切るリーダーだった“春日局”(かすがのつぼね)という女性は欠かせない人物です。

春日局(斎藤福)の人生は、強い信念を持たなければ歩めない険しいものでした。

しかし、その逆境を乗り越えたからこそ、彼女は朝廷から“春日局”の称号を賜ったのです。

わずか4歳で“逆臣”の娘に……

春日局のもとの名は斉藤福。

父・斎藤利三は、本能寺で織田信長を討った明智光秀の重臣でした。

本能寺の変が起きた年、福はまだ4歳でした。

しかし、山崎の戦いで主君・光秀が豊臣秀吉に敗れると、光秀の家臣だった利三も処刑されてしまいました。

こうして福は、4歳にして“裏切り者の娘”となってしまったのです……。

 

成長した福は母方の伯父・稲葉重通の養女となりました。

そして稲葉正成と結婚することになるのですが……福の苦難はここからでした。

今度は夫が浪人に!

夫・正成の主君は、関ヶ原の戦いを決めた小早川秀秋です。

秀秋が東軍に寝返ったことが、東軍勝利の決定打となりました。

この寝返りを秀秋に説得したのが、福の夫・正成でした。

しかし、その後に秀秋と意見が対立すると、正成は出奔してしまいます。

すると秀秋が病死して、小早川家は断絶。

正成は浪人となってしまったのです!

その後、福は正成と離婚するのですが……ここから、福は自分の力で逆転の人生を掴み取っていきます!




次期将軍の乳母になる

1604年。

26歳の福は、徳川幕府2代目将軍・秀忠の息子である竹千代の乳母に選ばれます。

きっかけは京都の粟田口で乳母募集の高札を見て、福はこれに応募して選ばれたという説があります。

しかし、次期将軍の乳母ですから、誰でもいいということはないでしょう。

「福の夫・正成が主君を寝返らせ、結果的に徳川家に貢献したこの縁を辿って採用された。」

こちらの説のほうが、真実味がありそうです。

そうして竹千代の乳母になった福は、役目以上の働きをして、竹千代を3代目将軍にまで押し上げました。

「竹千代様を将軍に!」と家康に訴える

竹千代の父である2代目将軍・家光と、母・お江。

二人は竹千代よりも、弟の国松を可愛がっていました。

すると、家臣たちの間でも、「3代目の将軍は竹千代様ではなく、国松様になるんじゃないか?」という雰囲気になっていきます。

そこで福は、伊勢参りに行くことにしました。

しかし、これは表向きの理由で、つまりは嘘です。

福の目的は駿府城にいる家康に会って、直接「竹千代様を3代目将軍に決めてください!」と頼むことでした。

福が家康に直談判したその後、家康は江戸城にやってきました。

そして、「次期将軍は竹千代だ」とそこではっきりと言ったそうです。

福の行動がすべてではないにしろ、きっかけにはなったことでしょう。

こうして竹千代は次の将軍と決められて、3代目将軍・家光になることができたのです。

福も大奥を取り仕切るリーダーとして、家光を支えていくことになります。




紫衣事件と“春日局”

1629年に、紫衣事件が起こります。

高僧だけが着ることを許されている紫衣を、後水尾天皇が幕府の許可を得ずに授けたことにより、幕府と朝廷との関係がこじれてしまったのです。

そして、後水尾天皇に退位の考えがあるようだと知った幕府は、朝廷に使いを送ることにします。

その使いに、福が選ばれます。

これをきっかけに、福は後水尾天皇から“春日局”という名前を与えられることになりました。

結果的に後水尾天皇は譲位しますが、後水尾天皇と家光の妹・和子との間に生まれた子どもが天皇となりました。

誓いを守っての病死

家光が病気になった時、福は「家光様の病気を治してくれるなら、私は一生薬を飲みません」という誓いを立てたことがありました。

福はその誓いを守って、自分が病に倒れても薬を飲みませんでした。

家光が薬を飲ませようとしても、飲んだふりをして、実際には口にしませんでした。

そして福は、1643年に65歳で亡くなります。

家光は福が亡くなった日、大きなショックと深い悲しみで、食事ができなかったという話があります。

福が薬を飲まなかったのは、誓いを破れば家光に不幸が訪れると思ったのでしょう。

しかし、自分の病気を治そうとする家光の姿を見れば、心打たれないわけがありません。

立派に育った家光の優しさを嬉しく思いながら、それでも最後まで尽くしきった福。

苦労が多かった人生の中で、家光こそが人生の希望で、彼のために働いたすべてが誇りだったのではないでしょうか?

福にとっては、誇らしい大成功の人生だったと言えるのかもしれません。